【NYCAインタビュー Vol.4】太田慧士朗さん ~自分の「好き」にこだわる就活は、人生を豊かにしてくれる~
Yuki Abe
自分の好きなことを突き詰めた就職活動経て、希望するスポーツメディア業界に就職した太田さん。なぜ「自分の好き」にこだわることが大事なのでしょうか。
インタビュー・原稿 By NYCAライター 阿部由季
Q: これまでの経歴を簡単に教えてください。
2012年の3月に東京の高校を卒業してから1か月後にボストンに来ました。アメリカの大学は9月入学なので、渡米してからの最初の4か月間は語学学校に通いました。9月からボストン郊外のコミュニティカレッジへ入学。3年生からマサチューセッツ州立大学ボストン校(University of Massachusetts Boston)に編入学しました。
2016年の12月にコミュニケーション学専攻で卒業し、本帰国しました。2017年の5月にスポーツメディア系の会社に入社しました。
Q: 就職活動を始めたのは、いつ頃でしたか?
2016年の春頃だったと思います。ボストンキャリアフォーラムも毎年行っていました。でも、面接を受けたのは2016年の秋のフォーラムが初めてでした。
僕の大学の日本人学生会が日本から企業を呼ぶことが多かったので、大企業だと商社、メーカー、人材系企業などを受けました。
それでも第一志望はスポーツメディア系でした。自分が好きなことをできたら幸せだなと思っていて。大好きなスポーツをメディアで発信していくってことは、自分の中の就職活動における大きな軸でした。
Q: なぜスポーツメディア業界への就職にこだわったのでしょうか?
小さい時からスポーツをやっていました。水泳、野球、卓球、サッカー、フットサル。テレビっ子だったので、テレビで試合を見るのも大好きでした。
アメリカでもコミュニティカレッジで体育会系のサッカー部に入っていました。アメリカ3部リーグで、選手として2年間プレーをしていました。編入後はボストンの日本人のアマチュアサッカーチームに入りました。そこではアメリカやフランスなど他の国のアマチュアチームとよく試合をしていました。
スポーツは言葉がわからなくても、ルールがわかれば見ているだけで楽しめますよね。スポーツは言語や文化の壁を越えて世界を一つにできるツールだと信じています。大好きな日本のスポーツを国内外問わず発信していきたいなと思っていました。
スポーツは海外ビジネスとして可能性が大きいと思っていて、そんな英語力も使える業界で、日本を軸に海外にも行ける機会があるような仕事がしたかったんです。
この春に入社したスポーツメディア系の会社では、外国人の選手が多いため英語を使う環境があります。外国人選手らと共にその国の大使館に表敬訪問したり、普通は経験できないようなことが日々たくさんあり、自分の好きな業界にこだわって就活してよかったなと思います。
Q: 現在勤めている会社はボストンキャリアフォーラム(BCF)に出展していないですよね? BCFではどのように就活していましたか?
はい、来ていません。BCFには自分が志望する企業はほとんど来ていませんでした。唯一行きたいと思ったメディア系やスポーツ系の会社は受けていました。
いろんな会社の面接をボストンでも受けましたが、結局自分が志望していない業界って話していくうちにボロが出てしまうんですよね。面接官の人も「この人は志望していないんだな」っていうのがわかっているのでしょう。
一方で自分が行きたいと思っている業界では、自分らしさをよく出すことができましたし、好感触もありました。やっぱり自分に合っている業界なんだなと思っていました。
BCFにて外資系のスポーツメディア系の会社から高評価を頂くことができました。日本に帰ったら最終面接の予定だったんです。しかし日本に帰国後、最終的に話がまとまらずにご縁がなくなってしまいました。
Q: 今の会社とはどのように出会ったんですか?
大学を卒業し、日本に帰ってきてからでした。日本本帰国後に2社受けました。1つは社会人経験3年以上の人が対象の企業です。ここは仲の良い知り合いが紹介してくださって、面接のチャンスをもらいました。しかしやはり社会人経験がないところで引っかかってしまいましたね。
もう1つが今勤めている会社です。Twitterで求人募集を見て、既卒も募集対象となっていたことから受けたんです。それからトントン拍子で面接が進み、内定を頂くことに至りました。
Q: 既卒で進路が決まっていない時には焦りはありましたか?
多少焦りはありましたけど、人生なるようになると思っていました。
日本の就活時期と合わなくて、去年(2016年)の夏休みに日本に帰ってきてからも就活をしていましたが、書類すら送ることもできない企業が多かったです。在学中に就職先が決まらなかったら、卒業後に1年ほど就活だけの時間を作ろうかなとも思っていました。
Q: 就活で辛かったこと、大変だったことは何でしたか?
コネクションの作りづらさ、本当に自分が志望する業界にちゃんと準備して受けられないなどのデメリットはよく感じていました。情報を集めるのも、OB訪問するの大変でした。
日本にいる学生って早め早めに就活に向けて動き出すじゃないですか。ES(エントリーシート)書き始めたり、大学のコネクションでOB訪問をしたりしますよね。アメリカにいるとなかなかそのようには動けません。
また4年生でもびっしり授業が詰まっており、課題もたくさんあります。忙しい大学のスケジュールの中で、就活の準備を同時進行で進めるのは大変でしたね。
Q: 就活では具体的にどんな準備をしていましたか?
大手企業は何万枚ものESや履歴書を見ていると思うんです。自分にしか書けなくて、目に止まるようなエントリーシートを書くことに力を入れました。特に書き方や言葉の選び方、表現の仕方にこだわりました。何十社と書類を送った中で、書類選考の通過率はほぼ100%でした。
例えば僕はイタリア語を日常会話レベルなら話すことができます。ボストンにきたばかりの頃に出会ったイタリア人の友達の影響です。この時はイタリア語を勉強しすぎて、英語よりもイタリア語の方が上手いのではないかと言われたくらいでした。イタリアの文化が好きになって、大学でもイタリア語のクラスを受講したほどです。
留学生は英語を話せるのは当たり前でも他の言語も話せる学生はそこまで多くないので、書いてあれば人事の方の目を引きます。そして面接でもその話題になると思いました。
Q: なるほど。表現の仕方には他にはどのようなことを気にかけましたか?
面接官にいかにこの人と会って話がしてみたいと思わせられるかがポイントなので、他の人が絶対に書かないようなことを書きました。例えば、長所の欄で「コミュニケーション力がある」と書く人は多いです。でも人事の方って見飽きているんですよね。
コミュニケーション力の高さをアピールさせたいけど、一番どのキーワードが目を引きやすいかなと考えたんです。僕は人と話すことが大好きで、初対面の人との会話も得意な方だと思います。ボストン留学中は学んだ心理学を応用させたコミュニケーション手法について履歴書に書きました。
これをアピールすることで、きちんと考えて行動しているんだなと思ってもらえます。実際に履歴書に書いたキーワードはここでは言えないようなキーワードなので、気になる方は個別で聞いてください(笑)
例えば、コミュニケーション手法の例としてミラーリングという心理学の考え方があります。相手が足を組んだら、自分も足を組んでみる。どこかのレストランに行って、相手がカルボナーラを頼んだら、同じカルボナーラを注文してみる。これは相手に親近感を与える効果があるそうです。この人同じものが好きなんだと思いますよね。
初対面の人とでも気軽に話せるようになることで、どこでもいろんな人と会話を楽しむことができるようになります。出会える人の幅も大きく広がります。普通に生きていたら、自分が働いている業界とか、同じ学校の人としか出会えないと思います。知り合いの母数があればあるほど、いろいろな可能性が広がるということです。これゆえに人との出会いはとても大切にしています。
Q: NYキャリアアカデミーからOB訪問の支援を受けられたと思いますが、その感想を教えていただけますか?
ニューヨークにある日本のテレビ局に勤めていた方とお話をさせていただきました。ただ自分で情報収集をしているだけでは聞けないような、就活や仕事のリアルな業界のお話が聞けてよかったです。
Q: これから就職活動する学生への応援メッセージやアドバイスをお願いします。
自分が好きなことを仕事にすることはとても幸せなことだし、生き生き働くことができます。ハードなことがあっても、自分の好きなことなら乗り超えられるでしょう。
だから自分が好きなことにはこだわってほしいです。留学しているということは、誇るべきことだし、武器だと思います。その武器を生かさない手はないです。自信を持って、妥協せずに追いかけてほしいです。